LEDビジョンを設置する際には何に注意すべき?選び方と法令を併せて解説
LEDビジョンを屋外に設置することを検討している場合は、法令や条例等をよく確認して計画を立てる必要があります。また、設置するLEDビジョンを選ぶ際には、適切なピッチサイズや使用環境に合ったものを選ぶようにしましょう。
今回は、LEDビジョンの選び方や、設置する際の注意点について紹介します。
■LEDビジョンとは
・LEDビジョンとは?
LEDビジョンとは、発光ダイオード(LED)を均一な面に等間隔で貼り付けた形状の画面です。主に、大型のディスプレイで表示されるデジタルサイネージに用いられています。
・LEDビジョンのメリット
LEDビジョンのメリットは以下の5つです。ひとつずつ紹介します。
<優れた視認性>
LEDビジョンは非常に高い輝度が特徴なので、晴れた屋外やガラス張りの室内でも、外光を気にせず映像を映し出すことが可能です。
<サイズや形状など設置の自由度が高い>
LEDビジョンでは、液晶ディスプレイで表現するには難しい、球形やカーブなどの形状でも設置できます。また、サイズも設置場所に合わせられるため、小さな空間から大型サイズのディスプレイが必要な屋外まで、幅広い場面や場所で活用できます。
<リフレッシュレートが高い>
LEDビジョンは、リフレッシュシート(垂直走周波数)の数値が高いことから、映像をなめらかに映し出すことが可能です。リフレッシュシートとは、1秒間でディスプレイが画像を更新できる回数で、Hz (ヘルツ) という単位で表します。数値が高ければ高いほど、活発な動きがある映像にも対応できることになります。
<ランニングコストを抑えられる>
LEDビジョンは、あらゆる環境下に設置できる高い耐久性を備えていることから、長期間の使用が可能です。ディスプレイに不具合が生じた場合でも、破損した箇所だけを交換して修復できます。特に、業務用ディスプレイは表示時間が長く交換頻度が高いため、LEDビジョンを使用することで優れたコストパフォーマンスを発揮するでしょう。
■LEDビジョンの選び方
LEDビジョンの導入を検討するときの選び方のポイントは以下の4つです。
・一番大切なのはピッチサイズ
LEDビジョンの選び方で、特に気をつけておきたいのがピッチサイズです。LEDビジョンは、遠い距離から見られることを目的としたデジタル映像表示機器であるため、LEDビジョンから目にする人までの距離である「視認距離」に合わせて、適正なピッチサイズを選ぶ必要があります。視認距離が遠い場合は、ピッチサイズが大きくても映像の荒さは目立たずなめらかに動いているように見えますが、視認距離が近い場合は、ピッチサイズは小さくなければなりません。適正なピッチサイズは、以下の計算式で算出します。
視認距離(m) ÷ 1.16 = 最適なピッチサイズ(mm)
・ピッチサイズ早見表
視認距離ごとの最適なピッチサイズは、以下の早見表で確認できます。
視認距離 | 最適なピッチサイズ |
約10m~100m | 10㎜ |
約8m~100m | 8.33㎜ |
約6m~100m | 6.67㎜ |
約5m~100m | 4.8㎜ |
約4m~100m | 3.9㎜ |
約2m~50m | 1.8㎜ |
約1.5m~50m | 1.5㎜ |
約1~50m | 1.2㎜ |
・ピッチサイズは高ければ高いほうがいい?
ピッチサイズが高い場合は、視認距離が近くてもきれいに見えますが、その分LEDビジョンの費用が高額になります。また、LEDビジョンはそもそも遠くから見ることを目的としているツールであるため、至近距離での解像度には限界があります。解像度を優先するのであれば、LEDビジョンよりも液晶ディスプレイや他の表示媒体のほうが適している場合もあるため、設置場所やシーンに合わせて適切なものを選びましょう。
・使用環境
LEDビジョンを屋内と屋外のどちらに設置するかによって、必要なスペックは異なります。屋外で使用する場合は防水・防塵性能が必要になり、屋内用よりも費用が高額になる傾向にあるため、LEDビジョンを選ぶ際には注意が必要です。
■LEDビジョンの導入で気を付けたい法令
LEDビジョンによるデジタルサイネージの屋外広告は、設置地域の役所が定めたルールのもとに設置しています。以下では、LEDビジョンを設置する際に知っておきたい、地域の条例について代表的な5つを紹介します。
・屋外広告物条例
屋外看板全般に関するルールを、設置する場所の管轄をしている役所が定めているのが、屋外広告物条例です。この条例は、屋外で使用するLEDビジョンも該当します。LEDビジョンの設置を検討する際には、広告物条例に則ったサイズのものを検討し、設置前には設置予定場所の地域を管轄する役所に申請と許可を得なければなりません。屋外広告物条例に基づき、検討や留意が必要なポイントは以下の通りです。
- 設置場所(壁面、屋上、自立柱など)
- 設置場所の用途地域によって設置要件(設置できるエリアや画面の大きさなど)
また、屋外広告物条例に該当しないケースもあります。例えば、店舗などの建物のガラス越しに屋外に向けてLEDディスプレイを設置した場合は、屋外に向けた表示物でも屋内設置のため、条例の対象外と見なされるようです。
・景観条例
景観条例は、すべての地域が対象になるわけではなく、都市景観に関する条例が定められている地域のみ注意が必要となる条例です。特に、歴史的建造物が多く建ち並ぶ地域や観光名所がある地域では、広告内容やビジョンの外観に対する制限が厳格に規定されています。日本を代表する観光地である京都市や奈良市は、景観条例が非常に厳しく、過去の事例では大型LEDビジョンの設置はほとんど許可されていませんでした。また、屋外広告物条例では対象外である、屋内から屋外に向けた表示物に対しても、景観条例では対象になる場合がほとんどです。そのため、屋内に設置する広告物であっても、役所と協議が必要な場合があることに注意しましょう。
・道路交通法
道路交通法では、屋外広告物を信号や標識の近くに設置することを禁止しています。
理由としては、交差点の付近に屋外広告物を設置した場合、信号機や標識が見えなくなったり、ドライバーの視野が狭くなったりするなどの悪影響が懸念されることなどが挙げられます。また、広告物が倒れてしまった場合、付近の交通に著しい影響を及ぼすなどの恐れが考えられることも理由の一つです。これらの危険が考えられる場所では、設置をなるべく避けるか、警察署の管轄部署に相談したうえで設置計画を立てる必要があります。
・工作物確認申請
4m以上の高さがあるLEDビジョンを設置する際には、工作物の確認申請が必要です。独立広告塔の場合は地面からの高さ、その他はビジョンの高さが4m以上のものが対象になります。また、申請にあたっては、資格取得者が確認した構造計算が必要です。確認申請の際は、設置を検討している場所を管轄する役所によって条例・規定が定められているため、事前に確認を行なったうえで申請しましょう。また、工作物確認申請は屋外広告物条例と連動しているため、工作物確認申請が通らなければ屋外広告物条例違反となり、LEDビジョンを設置することはできません。加えて、工作物確認申請は工事終了後の完了検査の申請にも必要である点にも注意しましょう。
・その他
敷地境界(空間を含む)を越えて設置を検討する場合は、一般的に道路管理者へ道路占有許可をとる必要があります。LEDビジョンを歩道や道路へ越境して設置する場合、出幅制限やLEDビジョンの設置高さに制限があるほか、LEDビジョンが越境する面積に応じて占有費用がかかります。
■屋外でのLEDビジョンの導入事例
LEDビジョンは、遠くからの視認性、耐久性に優れているため、屋外での利用に最適です。
屋外のLEDビジョンの導入事例を4つ紹介します。
・スタジアムや競技場
スタジアムや競技場で行われる試合を、よりエンターテインメント性を上げて提供するのにLEDビジョンは最適です。観客はもちろん、選手も楽しませて試合を盛り上げられるため、試合を興行するうえで重要な設備としての活用が期待できます。
・野外イベントでのARゲーム
雨などの悪天候にも強い大型ディスプレイは、野外イベントなどでのARゲームの実施に役立ちます。大型LEDディスプレイに映し出される仮想空間の体験型ゲームは、野外イベントの目玉になるでしょう。
・緊急時の情報発信ツール
LEDビジョンはオンライン型の通信回線を利用した配信方法のため、常に最新情報を発信できます。災害時の緊急速報や被害状況など、多くの人にとって重要な情報をいち早く知らせることが可能です。
・交通情報・天気予報などのインフォメーションツール
LEDビジョンは、駅では列車の遅延情報の表示などに使用され、主要な道路などでは最新の交通情報を知らせるのに活用されています。LEDビジョンには最新情報が表示されるため、駅の利用者やドライバーは到着の遅れがどのくらいになるのかなどの状況判断がしやすくなります。また、天気予報なども併せて配信できることも、インフォメーションツールとしての強みです。急な天気の変化や豪雨、積雪の影響による遅延や運休情報など、多くの人にとって必要な情報を迅速に提供することができます。
■まとめ
大型LEDビジョンでは、交通情報や天気予報、緊急災害発生時の被害状況などをリアルタイムで発信できます。うまく活用することで、大きな効果を発揮できるツールといえるでしょう。ただし、屋外の大型LEDビジョンは視認性が高く、通行人やドライバーなど多くの人に影響を与えるため、設置には役所への申請が必要です。LEDビジョンの設置計画を立てる際は事前に確認しましょう。 株式会社エヌジーシーはLEDビジョンの導入実績が豊富です。新たにLEDビジョンの導入をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。