NGC

CASE STUDY

vol.

01

BASEクリエイティブの基盤をつくる

離れた場所でも同じスタジオのように使える映像編集システムを構築。

株式会社Zaxx(GZ-TOKYO)様

株式会社Zaxx様(本社:名古屋)は、映像編集、カラーグレーディング、MA、CGを一貫して行えるポストプロダクション。 数多くのTVCMや企業ビデオ、ミュージックビデオ、TV番組などを手掛けていらっしゃいます。2017年、六本木に編集スタジオ「GZ-TOKYO ROPPONGI」をオープンするにあたり、 Quantum社のStorNextをベースとしたStorage Area Networks(SAN)を構築しました。Zaxx様とは、前身となる会社を含めて20年近くのお付き合い。六本木に新スタジオを開設する際に、既存の青山のスタジオと連携し、それぞれを “一つの箱として効率よく運営したい”というご相談を受けました。今回はこのプロジェクトの経緯と過程を、株式会社Zaxx専務取締役・ 第二映像編集部部長の佐藤和彦様と振り返ります。

長年の信頼関係のもと、
リスクを共有しながら新しい試みにチャレンジ。

システム構成はこちら

 

左から、弊社大久保、原田、Zaxx佐藤様(以下、敬称略)

“2つのスタジオを一つの箱として効率よく運営したい”というのは?

佐藤

六本木の6部屋、青山の3部屋を通信回線でつなぎ、あたかも9つの編集室を持つスタジオのように運営したいということです。お客様にとっては予約を取りやすくなりますし、緊急事態の時でも対応しやすくなります。コスト的な部分でも、サーバーの資産は六本木に集約できますし、青山の資産も活かすことができます。もちろんランニングコストはかかるでしょうが、サーバーを分散したままより、メリットが大きいと考えました。

原田

このご相談を受けて、まず“Zaxxさんでよかった”と思いました。というのも、こうした新しい試みをする場合は、お互いに“リスク”があることを理解しながらやっていく必要があるからです。どんなリスクかというと、例えばストレージをセンター化すると、それが止まった時はスタジオの運用が全部止まってしまうことが挙げられます。ただし、“絶対止まらないように”していくと、結局今までのシステムと変わらなくなってしまうので、どこまでリスクをとるかという意識の共有が必要になるわけです。Zaxxさんとは長年のお付き合いで信頼関係が築けていましたので、そこはうまくやれると最初から思いました。

大久保

今回、六本木と青山の間のダークファイバーをWDM(波長分割多重通信)でつなぎ、さらにSANを直接つないでの運用(※1)となりましたが、このアイデアは昨年の11月に開催された放送関連機器の見本市「Inter BEE」(インタービー)で思いつきました。WDMのメーカーのエンジニアと話をした時、“ファイバーチャネルのインターフェースを直接持てること”がわかったからです。

佐藤

ダークファイバーを使いたいっていうのは当初からありましたが、WDMという発想はまったくなかったので、最初に聞いた時は正直驚きましたね。SANに関しても、そこまで想像してなかったので、想像のはるか上をいっていただいたという感じです。もちろんSANにしたいとは思っていて、データの共有もしたかったんですけども、予算的に高くつくので…。そういうコスト面も含めて、ベストな提案をしていただいたと思います。

(※1)既存の青山スタジオと六本木スタジオをダークファイバーでつなぎ、WDM(波長分割多重通信)を用いることにより、ケーブル延長で10kmも離れている青山-六本木間で、4K相当の映像データをリアルタイムでやりとりすることも可能に。このため、青山オフィスの一部のシステムはローカルにストレージを持たず、六本木のSANをストレージとしてマウント利用することができる。

 

課題はダークファイバーの距離。そこで原田と大久保が打った手は……

今回のプロジェクトは、最初から最後までスムーズだったのでしょうか?

原田

いえ、そうはいかなかったですね。例えばダークファイバーの品質というのは、契約してつないでみないとわかりません。そして距離の問題。六本木と青山は直線距離だと3kmもないんですが、光ファイバーの総延長となると10km近くになります。それだけの距離で、果たして無事につなげられるか?そこで、10㎞のファイバーのドラムを買ってきて、両端にWDMの装置を置いて試してみました。

大久保

最初はやはりつながりませんでしたね。やはり距離が問題だったようで、5m、10mなら問題ないんですが…。WDMの装置の調整や、SANのシステム側の設定などをいろいろ試してみて、ようやくつながるようになったというわけです。

佐藤

デモを見せてもらうまで、結構時間かかりましたよね(笑)

原田

「待ってください」って言ってから、ずいぶんお待たせしてしまいました。問題があると、メーカーさんに来ていただいて検証し、ダメだったからじゃあもう1回!の繰り返し。そういうのを多分3、4回はやったので…。

大久保

要はメーカーさんも一人の人がすべてわかっているわけではないので、ダメな部分が発覚した時には、それに精通した人をまた呼んでもらうという手間がかかるわけです。結局、デモンストレーションまで、3ヶ月くらいはかかってしまいましたね。

佐藤

信用してましたが、少しドキドキはしましたね。ちゃんと繋がるのかなって。

大久保

それは私たちも同じでして……実際にデモを見ていただいた後、佐藤様に「あとは本番環境だけですね」と言っていただいた時は本当にありがたかったですし、なんとかここまで来られたとホッとしました。

 

 

成功の秘訣はやる気のある人材を集められたこと。本気を示せば人は動く。

今回のプロジェクトの成功のポイントは?

原田

リスクとメリットをすべて理解した上で、「じゃあ一緒にやろう」と言ってくれる人材だけを集められたことですね。今回いろいろなメーカーさんが関わっていて、コスト的にもかなり協力してもらっていますが、みなこのプロジェクトに“可能性”を感じていたから。絶対に成功させようという“やる気”もインテグレーションできたことが勝因ですね。

大久保

でも、一番はZaxxさんだと思いますよ。Zaxxさんがリスクを負ってでもやると決断してくれことが大きい。エンドユーザーさんがそこまで腹をくくってくれれば、我々もメーカーさんを説得しやすいですから。メーカーさんも新しいことをやる時は怖いんです。だから、必ず「それ、本当にやるんですか?」と聞かれるんですが、そこで我々が「う〜ん、それは……」と言葉に詰まったら、もう絶対に動いてはくれませんからね。

佐藤

まあ、“日本初”と言われたら、そりゃ……。私も社長も“初物”が大好きでしてね(笑)

 

一番の成果は“ロケーションフリー”。無駄な時間の削減に貢献。

今回のプロジェクトで一番の“成果”は?

原田

やはり“ロケーションフリー”になったことですよね。六本木に構築したSANのシステムがセンターストレージ(※2)になることで、六本木の6部屋はもちろん、青山の3部屋も含めて、社内ネットワークとしてストレージ共有ができるんです。具体的なメリットは、時間の大幅な節約です。例えば青山の部屋の機械が故障した場合、六本木側に空いている部屋があれば「すみませんが移動してください」とお願いすればいい。移動した先ですぐ作業を再開できます。以前だったら、データを書き出すのに半日、1日かかりましたからね。

大久保

同じようなシステムはすでにありますが、ここまで速度が速いものはないと思います。4K映像がそのままリアルタイムで観られますからね。

原田

省スペース化にも役立ちました。これまでなら、六本木だけで6部屋分のローカルストレージのスペースが必要だったのですが、ストレージをセンター化することで、約3分の1で済んでいます。

佐藤

今回、オープンルーム(内覧会)をやったんですけど、マシンルームに入ったお客様の第一声が「機材が少ない!」でした。

原田

マシンルームのスペースを減らして、その分編集室を広くすれば、お客様のためにもなりますからね。

(※2)センターストレージは、Main Storage(86.4TB/BW:6.5GB/s)とNearline Storage(336TB/BW:4.25GB/s)の2系統を設置。総容量400TBのストレージを8Uラックに収めるコンパクト設計を実現。Main StorageへのアクセスはFibre channel、Nearline StorageへのアクセスはFiber Channelと10GB-Etherを用い高速に接続。編集室間のデータ共有を簡単にし、部屋間の移動をシームレスに行えるようにした。

 

次世代の映像技術、人材の活用にも、大いに期待!

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

佐藤

今回、一番うれしかったのは、お客様に「一歩先の未来に来たみたいです」と言われたことです。しかし、映像技術は日進月歩。今回導入したマシンもいつか古くなります。その時、どう次の世代の映像技術に対応するか?きっとサーバーも変わるでしょうし、ダークファイバーは2本で、いや3本でという話も出てくるはず。その時はもちろんエヌジーシーさんにご相談しますよ。

原田

近々では、Zaxxさんの本社は名古屋なので、そこと東京の資産をどう結びつけられるかということを、考えなければと思っています。将来的には名古屋と東京をダークファイバーでつなげられればいいですけど、コストがかかりますから…。今はそれぞれの拠点にいる人材をどう“回す”かということが課題。例えば新しい機材によって、仕事が効率的に回るようになれば、余力を他のクリエイティブな部分に注ぎこめますからね。

佐藤

確かに、CG部が名古屋にありますので、彼らとの距離をどう縮められるかというのは一つの課題です。いろいろな事情で名古屋から動けないスタッフもいますからね。彼らをどう活かすか?そのための回線なり、システムなりを、今後考えなければいけないなとは思っています。

大久保

その際は、ぜひまたご提案させてください!

佐藤

喜んで!